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令和3年度から適用される個人住民税の改正点

更新日:
2020年11月20日

令和3年度の住民税は「令和2年中」の収入・控除などの状況をもとに決定されます。

給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替

 働き方の多様化を踏まえ、「働き方改革」を後押しする観点から特定の収入をもつ者のみに適用される「給与所得控除」や「公的年金等控除」から、収入の種類に左右されない「基礎控除」に振り替えることとされました。これに伴い、子育てや介護を行っている者などに配慮するため新たに「所得金額調整控除」が創設され、扶養親族等の所得金額要件についても見直されました。

給与所得控除の改正

  • 給与所得控除額が一律10万円引き下げ
  • 給与所得控除額の上限が195万円に引き下げ
  • 給与所得控除額の上限が適用される給与収入の上限額が850万円に引き下げ
給与等の収入金額 給与所得控除
改正後 改正前
162万5千円以下 55万円 65万円
162万5千円超180万円以下 収入金額×40%-10万円 収入金額×40%

180万円超360万円以下

収入金額×30%+8万円 収入金額×30%+18万円
360万円超660万円以下 収入金額×20%+44万円 収入金額×20%+54万円
660万円超850万円以下 収入金額×10%+110万円 収入金額×10%+120万円
850万円超1000万円以下 195万円
1000万円超 220万円

 

公的年金等控除の改正

  • 公的年金等控除額が一律10万円引き下げ
  • 公的年金等控除額の上限が195万5千円に定められた
  • 公的年金等の収入以外の所得金額が1,000万円超の場合、その所得額に応じて公的年金等控除額が段階的に減額

公的年金等の収入額

A

公的年金等控除額(65歳未満の方)
改正後 改正前
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額  
1000万円以下

1000万円超

2000万円以下

2000万円超 区分なし
130万円以下 60万円 50万円 40万円 70万円
130万円超410万円以下

(A)×25%+

27万5千円

(A)×25%+

17万5千円

(A)×25%+

7万5千円

(A)×25%+

37万5千円

410万円超770万円以下

(A)×15%+

68万5千円

(A)×15%+

58万5千円

(A)×15%+

48万5千円

(A)×15%+

78万5千円

770万円超1000万以下

(A)×5%+

145万5千円

(A)×5%+

135万5千円

(A)×5%+

125万5千円

(A)×5%+

155万5千円

1000万円超 195万5千円 185万5千円 175万5千円

 

公的年金等の収入額

A

公的年金等控除額(65歳以上の方)
改正後 改正前
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額  
1000万円以下

1000万円超

2000万円以下

2000万円超 区分なし
330万円以下 110万円 100万円 90万円 120万円
330万円超410万円以下

(A)×25%+

27万5千円

(A)×25%+

17万5千円

(A)×25%+

7万5千円

(A)×25%+

37万5千円

410万円超770万円以下

(A)×15%+

68万5千円

(A)×15%+

58万5千円

(A)×15%+

48万5千円

(A)×15%+

78万5千円

770万円超1000万円以下

(A)×5%+

145万5千円

(A)×5%+

135万5千円

(A)×5%+

125万5千円

(A)×5%+

155万5千円

1000万円超 195万5千円 185万5千円 175万5千円

 

基礎控除の改正

  • 基礎控除額を10万円引き上げ
  • 合計所得金額2,400万円超の場合、その金額に応じて基礎控除が段階的に減少し、適用されなくなる
合計所得金額(給与収入) 基礎控除額
改正後 改正前

2400万円以下

(2595万円以下)

43万円 33万円(所得制限なし)

2400万円超2450万円以下

(2595万円超2645万円以下)

29万円

2450万円超2500万円以下

(2645万円超2695万円以下)

15万円

2500万円超

(2695万円超)

適用なし

(注記)カッコ内は所得が給与所得のみの場合の、合計所得金額から逆算した給与収入額

所得金額調整控除の創設

 給与所得控除について、上限となる給与収入が850万円に引き下げられたため、給与収入850万円超の納税義務者は増税となります。そのため給与収入850万円超の納税義務者のうち、子育てや介護を行っている者に負担増が生じないよう「所得金額調整控除」が創設されました。
 また、給与所得と年金所得それぞれの控除額が10万円引き下げられたため、両方の所得を有する場合、基礎控除が10万円引き上げられても負担増が生じるケースがあります。このような場合にも、負担増が生じないよう所得金額調整控除が適用されます。

【給与収入850万円超の納税義務者のうち、子育てや介護を行っている方への措置】

以下の適用条件のいずれかに該当する者の総所得金額を計算する場合、計算式から算出した額を給与所得の金額から控除します。

適用条件
  • 本人が特別障害者
  • 年齢22歳以下の扶養親族を有する
  • 特別障害者である同一生計配偶者もしくは扶養親族を有する
計算式

 (給与等の収入金額-850万円)×10% 
 (注記)給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には1,000万円

【給与所得と年金所得両方を有する方への措置】

給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等の雑所得の金額の合計額が10万円を超える納税義務者は、以下の計算式から算出した金額を給与所得の金額から控除します。

計算式

 (給与所得控除後の給与等の金額+公的年金等の雑所得の金額)-10万円 
 (注記)「給与所得控除後の給与等の金額」、「公的年金等の雑所得の金額」は、ともに上限10万円

扶養親族等の所得金額要件の改正

 給与所得控除・公的年金等控除から基礎控除への振替により、扶養親族等の合計所得金額要件なども見直されました。
 各要件については以下の表のとおりです。

要件等 改正後 改正前
同一生計配偶者及び扶養親族の前年の合計所得金額要件 48万円以下 38万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者の前年の合計所得金額要件 48万円超133万円以下 38万円超123万円以下
勤労学生の前年の合計所得金額要件 75万円以下 65万円以下
ひとり親に係る生計を一にする子の前年の総所得金額等要件 48万円以下 38万円以下
雑損控除に係る親族の前年の総所得金額等要件 48万円以下 38万円以下
家内労働者等の事業所得等の所得計算の特例について、必要経費に算入する金額の最低保障額 55万円 65万円
障害者、未成年者、寡婦及びひとり親に対する個人住民税の非課税措置の前年の合計所得金額要件 135万円以下 125万円以下
均等割非課税基準における前年の合計所得金額

同一生計配偶者及び扶養親族がいない方

38万円 28万円
同一生計配偶者または扶養親族がいる方 28万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+10万円+16.8万円

28万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)

+16.8万円

所得割非課税基準における前年の総所得金額等

同一生計配偶者及び扶養親族がいない方

45万円 35万円
同一生計配偶者または扶養親族がいる方 35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+10万円+32万円 35万円×(同一生計配偶者及び扶養親族の合計数+1)+32万円

 

子どもの貧困に対応するための住民税非課税措置

 住民税には配偶者との死別・離婚等により、家族の生計を支えていかなければいけない者に対して、「寡婦(夫)控除」「非課税措置」といった税制上の配慮を行う仕組みが設けられています。
 未婚のひとり親はこれらの対象に含まれていませんでしたが、過去の婚姻歴の有無にかかわらず、ひとり親の経済的支援の充実をはかり、子どもの貧困への対応という観点から「非課税措置」の対象に追加されることとなりました。

住民税非課税措置に追加される対象者

 児童扶養手当の支給を受けている児童の父または母のうち、現に婚姻をしていない者または配偶者の生死の明らかでない者(前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く)

(注記)「児童」は、父または母と生計を一にする子で前年の総所得金額等の合計額が48万円以下であるもの
(注記)「婚姻」および「配偶者」には婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含むものとする
(注記)「児童扶養手当」は原則として、支給対象者が事実婚状態にないことを確認したうえで支給対象を決定することとされている

未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(寡夫)控除の見直し

 全てのひとり親家庭の子どもに対して公平な税制を実現する観点から、「婚姻歴の有無による不公平」と「男性のひとり親と女性のひとり親の間の不公平」を同時に解消するために、以下の措置が講じられました。

1. 未婚のひとり親に寡婦(寡夫)控除を適用
 婚姻歴や性別にかかわらず、生計を同じとする子(総所得金額等が48万円以下)を有する単身者について、同一の「ひとり親控除」(控除額30万円)を適用することとなりました。

2. 寡婦控除の見直し
 上記以外の寡婦については、引き続き寡婦控除として、控除額26万円を適用することとし、子以外の扶養親族を持つ寡婦についても、男性の寡夫と同様の所得制限(所得500万円(年収678万円)以下)を設けることとなりました。

(注記)ひとり親控除、寡婦控除のいずれについても、住民票の続柄に「夫(未届)」「妻(未届)」の記載がある方には適用されません。

3. 個人住民税の非課税措置の見直し
 上記の対応を踏まえ、人的非課税措置の対象となる未婚のひとり親について、児童扶養手当受給者(18歳以下の児童の父又は母)に限定しないこととされました。

ひとり親とは

 「ひとり親」とは、「現に婚姻をしていない者または配偶者の生死の明らかでない者(船舶の沈没等の事故による生死不明や、3年以上生死が明らかでない)のうち、次に掲げる要件を満たす者をいいます。

  • その者と生計を一にする子 (他の者の同一生計配偶者または扶養親族とされている者を除き、前年の総所得金額等の合計額が48万円以下の者)を有すること。
  • 前年の合計所得金額が500万円以下であること。
  • その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者がいないこと 。

【所得控除額】

  改正後
<ひとり親控除>
配偶関係 死別 離別 未婚
本人合計所得 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超
扶養親族 30万円 30万円 30万円

< 寡 婦 控 除 >
配偶関係 死別 離別

本人所得

500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超

子以外 26万円 26万円
26万円
  ≪改正前
< 寡 婦 控 除 >
配偶関係 死別 離別
本人合計所得 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超

親族

30万円 26万円 30万円 26万円

以外

26万円 26万円 26万円 26万円
26万円
< 寡 夫 控 除 >
配偶関係 死別 離別
本人合計所得 500万円以下 500万円超 500万円以下 500万円超

26万円 26万円

 

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