その4 スタック対処法編

しないにこしたことはない、雪道でのスタック。
本編ではいざ実際にその場面に遭遇したときにどうすればいいのかを伝授したいと思います。

■スタックしたとき

雪の大山寺橋

雪道でスタックしたときはつらいものがありますよね。
楽しかったスキーの記憶は一気にぶっ飛んで、隣の彼女からは冷た〜い視線。こうならないのが一番ですが、ハマッてしまったものは仕方ありません。
ここでいかに冷静に対処し素早くリカバリーできるかが勝負です。


1.まず状況把握

一口にスタックしたといっても、状況により大きく対処方法は変わります。
単にスリップして動けないだけなのか、道から外れて溝にはまってしまったのかなど、対応方法は全く違います。
なんでもかんでもJAFをCALLでは芸がなさすぎますよ。ここでは大きく

  1. 単なるスリップ
  2. 新雪に埋もれて動けない
  3. 雪の固まりなどに乗り上げて亀になった
  4. ちょっと脱輪した
  5. 完全に道路から外れた

の、5ケースに分けて説明していきます。

2.ケース毎対処法

(1)スリップして動けない場合
凍結した上り坂で止まってしまった場合、再び動こうとするとうまくいかない場合が多くあります。
いうまでもなく、車輪の駆動力が道路に伝わらないのです。FF車ではよくこういう事態に陥ります。
どうするかといいますと、とにかく駆動力を与えるにつきます。当たり前だと怒らないでください。この当たり前のことが雪道では大変なことなのです。
まずタイヤにでこぼこを作って抵抗を増やすという方法(普通にいえばチェーンを巻く)です。ただ、こういう場合はたいていチェーンをお持ちでないと思いますので、道路の方に抵抗を作るという方法になると思います。
板きれとかぼろ布をタイヤにかませてその抵抗で発進するという方法です。複数の人が乗車している場合は、人力で強制的に駆動力を与える(要するにひたすら押す)ことでも脱出することができます。駆動輪に圧力を与える(重くする)ことで更に効果を増すことができます。
要注意なのはうまく動くことができても、後ろで押している人はどうやって乗車するのかという問題が残るということです。普通山道は上り坂が続きますからね(笑)。
発進しようとする際にはアクセルを踏みすぎないことが肝心です。セカンド発進で(マニュアル車は半クラッチも併用して)エンスト寸前の状態での発進を心がけましょう。


一晩で雪に埋もれた車
(2)新雪に埋もれて動けない場合
朝起きてみると新雪がどっさり!雪国ではよくあることです。
童心に帰って新雪に足跡を付けている間は楽しいのですが、駐車場で唖然!車が雪にすっぽり。
とりあえず雪を払って車に乗り込んでエンジンをかけてみたものの、道路まで出ることができない。さぁ困った…。
根本的に解決するためには原因を取り除く(つまり雪をどかす)ことが必要なのですが、これは結構な重労働になります。スコップがない場合は更に大変ですね。
車の種類が大径タイヤの4駆車であれば、車自体を除雪車にして無理矢理脱出するということもできるでしょうが、後輪駆動の乗用車などは下手をすると腹の下に雪が詰まって完全に亀状態になることもあります。
現実的な方法としては、タイヤの前後の雪をまず取り除きます。他に人がいれば後押しで車を応援してもらいましょう。そして、一気にアクセルをあけることなく、ゆっくりと前進バックを小刻みに繰り返して、雪を踏み固めながら進んで行くとなんとか脱出!ということになると思います。
ただ、積雪量が多い場合(目安として車のバンパーの上あたり)は、あらかじめ進路の雪を排除しておいた方が無難でしょうね。
当然タイヤの種類やチェーンの有無で大きく脱出条件は違ってきます。
くれぐれもアクセルを踏みすぎないように。車が動かないと、人情としてアクセルを踏み込みたくなります。ところがいくらアクセルをふかしても、タイヤは空転するばかりで、どんどん深く埋もれていき、文字どおり墓穴を掘ってしまうことになりますよ。
もうひとつ。以外と気づかないのですが、タイヤはまっすぐにしておくことが必要です。

(3)雪の固まりなどに乗り上げて亀になった
除雪されて固まった雪などがこんもりと小山状態になっていることがあります。また、駐車場の通路を除雪した場合に、横にこぼれた雪の固まりが凍結して堅くなっていることもあります。
あらかじめその固まりを取り除いてから通行すればどうってことはないのですが、それを面倒がって勢いよく乗り越えようとすると、前輪が乗り越えた段階で雪が車腹につかえて、いわゆる「亀さん」状態になってしまいます。
こうなると4駆であろうがチェーンをつけていようが、文字どおり手も足も出ずじたばたともがくだけになってしまいます。
脱出方法は、スコップなどで少しずつ腹の下の雪をかきだして、タイヤを見事着地させるということになります。実はこれが本当に大変で、元々固まっている雪が車の重さと乗り越えた勢いとでしっかりプレスされており、一筋縄では取り除けないのです。
それも低い位置で車という障害物の下から掻き出さなければなりません。当然、人間の体勢は雪の上に寝っころがっての苦しい姿勢で行うということになります。
近くに仲間の車があったり、親切な人がRVを転がしていたら、牽引してもらう方が手っ取り早いでしょう。
人力で手助けするというのもいうまでもありません。

(4)ちょっと脱輪した
調子に乗って雪道を「カウンターステア!」などと叫びながら走っていると、コントロール不能になって脱輪してしまうことがあります(というより大抵そうなります)。
気をつけて運転しても突然スリップしてしまうこともよくあります。
脱輪の程度にもよりますが、ただちにJAFに電話というのはなさらずに、冷静に状態を把握します。
たとえば路面の状態にもよりますが、前輪駆動車の後輪が片方だけ溝に落ちた程度であれば、後ろから人が押すだけで簡単に脱出できることがあります。
駆動輪が脱輪したり、片側の前後ともとなるとちとやっかいですね。あたりを見回して丸太とか板きれとかが落ちていないか探します。
トランクの中からジャッキを持ち出し路面高まで車を持ち上げます。丸太や板きれを駆動輪と道路の間に挟み込み、てこの原理とエンジンの力で脱出を試みます。
浅い溝ならこの方法が有効です。
人手がたくさんあって、車が軽い場合は人力で持ち上げるということもやってみる価値はあります。この際には手を切らないように軍手などをして試みてください。
他の車に牽引をお願いするのも有効です。この場合は必ず誰かが運転席で車をコントロールする事を忘れないでくださいね。さもないと、やっと脱出できたのに今度は反対側にドボン!ということになりかねませんからね。
牽引はできるだけ重くかつ駆動力の高い車(RVなど)にお願いしましょう。
4駆でもチェーンがないと役に立たない場合が多いようです。
どうしてもだめな場合、手助けしてくれる人がいない場合は、やむを得ませんのでJAFなどの業者さんにお願いすることになります。
ここで裏技(?)を一つ。といっても誰でもできるというわけではありませんが…脱輪して途方に暮れていてもなかなか手助けに停まってくれる人はいないようです。
どっちかというと「ざまぁみろ」という感じで嘲笑さえされるくらいです。
かわいい彼女を暖かい車内に残しておきたいという気持ちは解りますが、ここは彼女に一肌脱いでいただきましょう。
女の子が一人しょんぼりと脱輪した車を眺めていると大概の男だけのグループが「どうしたの?」と声をかけてくれます。彼女が手助けをお願いしたところで、それまで車の陰に潜んでいたあなたはおもむろに登場するのです。
これはかなりの確率で成功しますよ。少なくとも私は100パーセント停まります(笑)。
実際に男がスタックしていると「早くどかせ!バカヤロー」ですが、女の子だけの車だと同じ人が「どうしたの?手伝だおうか」ですからね。

(5)完全に道路から外れた
この場合は事態が深刻です。林につっこんだ、田圃に落ちた、崖から転落した!などまず自力ではどうしようもありません。
エンジンスイッチを直ちにカットし、まず自分たちの体の状況を確認します。
身体に異常がなければ、車外に出て燃料漏れなどがないかどうかを確認し、自らの不運(不徳?)を呪いながらJAFなどに救出を依頼することになります。
体や車に異常がある場合は、通行人に助けを求めたり、119番通報することになります。
大山周辺の道路はほぼ完全に携帯電話が全社通じます(逆にPHSはほぼダメです)。
公衆電話がほとんどなく、人家も見あたらないところが多いので、携帯電話が威力を発揮します。110番や119番を直接ダイヤルすることで、所轄にかけることができるようになっています。

3.後始末

なんとかスタックから脱出できました。早くおうちに帰りたい、あるいは暖かいところでお茶したいという気持ちは解りますが、後かたづけを忘れないでくださいね。
使ったぼろ布などを放置したまま帰るなどというのは言語道断です。
現場の整理整頓はもちろんこと、ガードレールや塀などを壊していれば、道路管理者や所有者に連絡が必要です。他の車を傷つけた場合も同様です。
放置したままで逃げ去った場合、最悪「逮捕状」という滅多にみることのできない公文書を突きつけられることにもなります。
手助けいただいた方へのお礼も必要です。手助けの程度にもよりますが、ちょっと押してもらったり、牽引していただいたくらいの時は「ありがとうございました」の言葉だけで十分だと思います。
もっとも、相手がステキなおにいさん(おねえさん?)の場合は、近くのレストランでお食事というのもあなたの自由ではありますが…。

4.予防が大切

いろいろとご説明してきましたが、要は「一度ハマルと後が大変」ということです。
いくら備えていても憂いが出ることはありますが、備え(雪道装備)をしていないと憂いを自分で招いているようなものです。
とにかく「急」のつく行為をしない、冬用タイヤにタイヤチェーンの装着でかなりの部分防ぐことができると思います。
大山でも係員の忠告を無視したり制止を振り切って無理をし、最終的に罵声を浴びながらレッカーや雪上車のお世話になる方がいらっしゃいます。
惨めな思いをしたくなければまず自分自身で予防措置をとりましょうね。